「私がレースを走るわけ...」
くれ〜じ
よく聞かれる訳ですよ、「なんで、レースなんかやってる訳?」って。そのたんびに答えに困ってしまう。なんでって、あんまり真剣に考えた事無いんだよねー。
初めてオートバイのレースに接したのは、中学生の頃だったと思うけど、「汚れた英雄」って映画があってさぁ...映画自体は親に止められて観れなかったんだけど、コマーシャルかなんかで見た映像が未だに鮮烈に頭の中に残ってるんだよね〜。多分ウォーミングアップラップが終わってマシンがグリッドに並ぶところを後ろから撮ったシーンなんだけど、ライダー達が後ろを振り返ったりしながらゆっくりスターティンググリッドに向かって進んで行く。ゆっくりなんだけど、皆の背中になんとも言えない緊張感が漲ってて、「カッコイイな」って単純にそう思った。
でも、それから暫くはレース事体にはあんまり興味持たなかったし、YH戦争の頃はロックンロールにはまってて、バイクなんかほとんど見向きもしなかったなぁ。バリバリ伝説は読まなかったし、片山敬済でさえも、名前だけは知ってたけど、走る姿を見たのはずーっと後になってから、VTRでしか見た事無い。
今でこそ、仲間内では古いレースに滅法強い物知りサンだけど、実
はマイク・ヘイルウッド(この辺は見た事無くて当たり前か)、バリー・シーンやケ
ニー・ロバーツ...フレディー・スペンサーでさえも現在進行形では観たことな
い。全て後から本やビデオで「勉強して」得た知識。そういう意味では初めての自分
のヒーローはケヴィン・シュワンツだったナ。
バイクに本格的に乗り始めたのも人よりは比較的遅くて、中免取ったのは大学最後の春休み。皆が卒業旅行に行く代わりに教習所に2週間ばかり通って免許取った。理由も別にどうしてもバイクに乗りたかったって訳じゃなくて、「会社通い始めたらバイクの免許なんて取る暇ねぇだろうーナ。免許くらいは持ってないとロックンロールな人生生きらんないジャン...」てなもんで、いつもの通りカッコだけ。
初めての中型バイクは87年式NSR250。就職して初めてもらったボーナスを頭金に、ローンで買った中古車。その頃は峠でも皮ツナギ着るのってわりと普通で、膝なんか擦る事も無いのにカドヤのレーシングスーツ着て、ひたすらツーリングしてたっけ。峠で速い小僧にいとも簡単にブチ抜かれて、えっ?なんでぇ?同じバイクなのに...なんか馬鹿にされたみたいで悔しいなぁ...闘争本能が芽生えた瞬間でした...
当時世話になってたオートバイ屋さんが8耐に出てたりした関係で、仲間にもやたら飛ばす奴が多かった。ツーリングって言っても馬鹿みたいに飛ばすクラブだったナ。初めて参加した時は、先頭の会長さんには帰って来るまで一度も会う事も無く、景色なんて全然覚えてない。道順だって???だったし、ひたすらアスファルトしか見なかったっけ。
いつしか自分がいつの間にやらその会長職に収まってて...親は嘆いてたなぁ、「高校の頃、乗りたいって言った頃に乗せといてやれば、今頃はもう飽きて止めてたろうに...」だってサ(笑い)。未だに言ってるけどね。
そのうちそこのショップのサーキット走行会に何回か行きはじめて、初めて自分なんかよりメチャクチャ速く走れる人がゴマンと居る事を知ったり、うわ〜っ!タイヤなんて初めてこんなにドロドロになっちゃうんだぁ...今迄宝の持ち腐れだったニー・パッドを初めて何ミリか削ってみたりして、カ、イ、カ、ン...(古い!)ウーン、バイクってすげぇなぁ、深いなぁ、って。
それから峠の走り方も随分変わったと思う。ライダースクラブの根本さんのライテク解説記事なんか隅から隅まで読んでサ。フォームとか、「きっかけ」とか矢鱈に夢中になってね。毎週峠に出掛けてた。楽しかったナ。
土曜日の夜は必ず、彼女とホテルに居ても12時半から12チャンネルつけてサ、泉ユウジの本を古本屋で買い漁って次の週末は気分はケイ・スギモトだったり、「汚れた英雄」ビデオ借りて初めて観たのもこの頃ダナ。案外つまんなくってガッカリだった。小説の方が100倍面白いね。
イイ大人になってからさ、遅咲きの狂い咲きだよね...
自分でレースに出るようになって一番面白いのは、皆の目の色が変わる瞬間。特にハーレークラスは結構ライダー同士仲良いから余計ね。さっきまで普通に笑って話してた奴等が急にマジな目つきになる瞬間。面白いぜー。きっと自分も傍から見てるとそんな時があるんだろうナ。俺がオンナだったら、そんなの見ちゃった日には惚れちゃうなぁ...ってくらいゾクゾクする。そんなこと言うオンナに遭った事無いけど...
みんなバイクのミーティングとか、イベントによく行くでしょ。集まって、自分のカスタムしたトコ見せっこしてさ、話して笑って、で、カスタムコンテストで商品もらっちゃったりして、じゃまた次回ネ、みたいな。
おんなじ様な事やってんだよね。オ!オールペンしたね!?いくらかかった?とか、このパーツいいねぇ、どこで手に入れたの?とかサ。それにちょっとだけ、タイムと順位っていう極めて客観的な評価基準が加わるだけ。キショー!今回はあいつに勝てなかったゼ、次は見てろよー!...みたいな。毎週峠に出掛けてってたあの頃とおんなじなんだよ...
余計に特別な事してる意識があんまり無いんだろうな。だから「なんで?」って聞かれても、「う〜ん...」てなっちゃう訳。
でもさ、一応知らない人に聞かれた時の答えは決めてあんだ...「今の世の中、男が命懸けてする遊びなんて、ボクシングとオートバイのレースくらいしか無いじゃないスか。」高倉 健風にボソッと言ってみたりして。どうだい?カッコいいだろぅ?真似すんなヨ!